マンジャロ、オゼンビック、サクセンダなど、糖尿病治療や体重管理に使われるGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)を使用されている方は、大腸カメラの前処置(下剤による腸管洗浄)が不十分になりやすい傾向があることが、近年の研究で報告されています。当院で大腸カメラをご予定の方にも知っておいていただきたい内容です。
前処置が不十分になりやすいというデータ
2025年に発表されたメタ解析(Beran A, et al. Am J Gastroenterol. 2025)では、GLP-1RAを使用している方と使用していない方、合計10,833人を比較したところ、次のような結果が報告されています。
- 前処置が不十分だった割合:GLP-1RA使用者 10.6% / 非使用者 4.6%
- 腸のきれいさのスコア(BBPS):GLP-1RA使用者の方が有意に低い
つまり、GLP-1RAを使用している方は、使用していない方と比べて約2倍、前処置が不十分になりやすいという結果でした。糖尿病がある方に限定した分析でも、同じ傾向が確認されています。
なぜ前処置がうまくいきにくいのか
GLP-1RAには、胃腸の動きをゆっくりにする作用があります。この作用によって吐き気や胃もたれが起こりやすくなり、下剤を予定通りに飲みきれなかったり、腸の動きそのものが遅くなって便がきちんと排出されなかったりすることが、前処置不良の背景にあると考えられています。
前処置が不十分だと、腸の中に便が残ったまま検査を行うことになり、小さなポリープやがんを見逃してしまうリスクが高くなります。せっかく検査を受けても、十分な効果が得られない可能性があるのです。
この研究の対象について
今回ご紹介した研究は、糖尿病または肥満の治療としてGLP-1RAを使用している方を対象にしたものです。美容・体型管理目的で使用されている方を対象にしたデータは、まだ十分に報告されていません。ただし、GLP-1RAが胃腸の動きを遅らせる作用そのものは、使用目的や体格に関わらず起こりうるものです。念のため、美容目的で使用されている方も、検査前には必ず使用状況をお伝えください。
大腸カメラをご予定の方へお願い
GLP-1RA(マンジャロ、オゼンピック、サクセンダ、ウゴービなど)を使用中、または過去に使用されていた方は、検査前の問診で必ずお申し出ください。当院では、必要に応じて下剤の量や飲み方を調整するなど、前処置がしっかり効くよう対応いたします。
ご自身の判断で薬を中止せず、休薬が必要かどうかは必ず当院または処方医にご確認ください。
※本文章は学術文献に基づく情報提供を目的としたものであり、医学的助言に代わるものではありません。GLP-1RAの休薬・継続については、必ず処方医または当院にご相談ください。
参考文献
- Beran A, Nayfeh T, Akhras A, et al. Effect of Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists on Bowel Preparation for Colonoscopy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Am J Gastroenterol. 2025;120(7):1653-1656.

