過敏性腸症候群(IBS)とは|新宿・東新宿駅前こばやし消化器内科

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過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(IBS)とは|新宿・東新宿駅前こばやし消化器内科

サマリー(時間がない方はこちらをどうぞ)

過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)などの検査を行っても、がんや潰瘍といった目に見える器質的な異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な腹痛と便通異常(下痢や便秘)が続く機能的な疾患です。脳と腸が自律神経やホルモンを介して影響し合う「脳腸相関(のうちょうそうかん)」の変化が病態の根幹にあり、ストレスや腸内細菌叢の変化が引き金となって、腸の運動異常および腸の知覚過敏を引き起こします。

命に直接関わる疾患ではありませんが、通勤や通学、日常生活に影響を与えることがあります。治療は、食事や生活習慣の改善をベースとし、病型(下痢型か便秘型か)に合わせた薬を組み合わせることで、症状をコントロールしていくことが目標です。

症状について

排便に関連して増悪または軽快する腹痛が最大の特徴です。便の形状(硬さ)によって、以下の4つの型に分類されます。

  • 下痢型(IBS-D):男性に多くみられます。突然の腹痛とともに、水のような下痢や泥状便が1日に何度も現れます。緊張する場面(会議や試験など)や通勤電車の中で急激な便意を催すことが多く、外出が困難になることがあります。
  • 便秘型(IBS-C):女性に多くみられます。コロコロとした硬い便しか出ず、排便時の腹痛や残便感、腹部膨満感が続くことがあります。
  • 混合型(IBS-M):下痢と便秘を数日ごとに交互に繰り返す病態です。
  • 分類不能型(IBS-U):上記のいずれにも明確に当てはまらない便通異常を示します。

病気の概要

消化管の働きは、自律神経系を通じて脳によってコントロールされています。過敏性腸症候群は、脳と腸の間の双方向通信(脳腸軸)に変化が起きている状態です。

身体的・精神的ストレスが脳に加わると、その信号が自律神経を介して腸に伝わり、腸の平滑筋が過剰に収縮して腹痛や便通異常を引き起こします。同時に、腸からの感覚信号も脳に過剰に伝わるようになるため、健康な方であれば気にならない程度の腸の動きやガスの発生を「痛み」や「不快感」として脳が感じてしまいます。

病気の特徴

IBSにおいて重要な特徴の一つは、「器質的疾患を除外すること」によって初めて診断が成り立つ(除外診断)という点です。国際的な診断基準である「Rome IV基準」が用いられますが、その前提として、大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病などの疾患が隠れていないことを確認する必要があります。

  • 症状の特徴:IBSの症状は「起きている活動時(特に緊張時)」に強くあらわれる傾向があり、睡眠中に腹痛や下痢で目が覚めることは通常ありません。
  • 気をつけるべき症状:夜間に症状があらわれる場合や、血便(下血)、意図しない体重減少、発熱などを伴う場合は、IBSではなく他の疾患との関連を確認することが推奨されます。

原因・背景

発症の直接的な原因は一つではなく、以下の要因が関係して脳腸相関の変化を引き起こすと考えられています。

心理的および社会的ストレス

過労、対人関係の悩み、睡眠不足などが自律神経のバランスを変化させ、腸の運動をコントロールする神経伝達物質(セロトニンなど)の分泌に影響することがあります。

感染性腸炎後の発症(PI-IBS)

サルモネラやカンピロバクターなどによる細菌性腸炎に罹患した後、腸内の炎症が治まったにもかかわらずIBSを発症するケースが約10%存在することが報告されています。腸粘膜の微小な炎症や腸内細菌叢の変化が関係していると考えられています。

特定の食事成分

FODMAP(発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール)と呼ばれる特定の糖質(小麦、乳製品、タマネギなど)を摂取すると、大腸内で異常なガスが発生し、症状が悪化することがあります。

検査で分かること

IBS特有の異常を数値化する検査はありません。症状の原因となる「他の病気がないこと」を確認するために以下の検査を行います。

主な検査方法

  • 大腸内視鏡検査(大腸カメラ):IBSの診断において基本となる検査です。粘膜を直接観察し、大腸がん、ポリープ、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がないことを確認します。
  • 血液検査:貧血の有無、炎症反応(CRPなど)、甲状腺機能異常(亢進症は下痢を、低下症は便秘を引き起こすことがあります)を確認し、全身性の疾患を除外します。
  • 便検査:便潜血検査で隠れた出血がないかを確認します。必要に応じて細菌培養検査を行い、慢性的な感染症を除外します。

治療方針について

IBSの治療は、生活指導、食事療法、薬物療法を組み合わせて行います。

生活習慣の改善および食事療法

  • 生活習慣:睡眠不足の解消、適度な運動によるストレス対処を心がけます。高脂肪食、カフェイン、アルコール、香辛料などの刺激物を避けることが推奨されます。
  • 低FODMAP食:症状が改善しない場合は、原因となる糖質を排除する「低FODMAP食」の導入を検討します。

薬物療法(消化管機能調節薬など)

  • 全型共通:腸内の水分バランスを整える高分子重合体(ポリカルボフィルカルシウム)、腸内環境を改善するプロバイオティクス(整腸剤)、腸の異常な収縮を抑える鎮痙薬を使用することがあります。
  • 下痢型(IBS-D):腸の異常な運動に関わるセロトニンの働きを抑える「5-HT3受容体拮抗薬(ラモセトロン塩酸塩など)」が有効とされています。
  • 便秘型(IBS-C):腸管内に水分を分泌させて便を柔らかくする上皮機能変容薬(ルビプロストンやリナクロチド)、または胆汁酸の吸収を抑えて大腸の運動を促す薬(エロビキシバット)を使用します。

心理療法

  • 内科的な治療で改善が乏しく、心理的要因が強い場合は、抗うつ薬や抗不安薬の補助的な使用、心療内科による認知行動療法などを組み合わせることがあります。

よくある質問(Q&A)

精神的な気の持ちようで治る病気でしょうか?
単なる「気の持ちよう」ではありません。脳と腸の神経ネットワーク(自律神経やセロトニン受容体など)のシステムに機能的な変化が生じている疾患です。生活環境の調整と医学的な薬物療法が治療の柱となります。
大腸カメラをうけずにIBSの薬をもらうことはできるでしょうか?
若年者で典型的な症状であれば、一時的に薬で経過を見ることは可能です。しかし、症状だけでは「大腸がん」や「潰瘍性大腸炎」と見分けることは難しいため、特に40歳以上の方や、これまでに一度も検査を受けたことがない方は、大腸内視鏡検査による確認が推奨されます。
治療を続ければ完全に治癒(完治)しますか?
IBSは高血圧や糖尿病のように、体質や生活環境と結びついた慢性疾患です。治療の目的は「症状をゼロにすること」ではなく、「症状をうまくコントロールし、日常生活や仕事に支障がない状態を長期的に保つこと」にあります。

受診の目安

「会議の前になると必ず下痢になる」「お腹が張って苦しく、便秘と下痢を繰り返している」といった症状が数ヶ月にわたって続き、仕事や学業に影響が出ている場合は、過敏性腸症候群の可能性があります。

以下のような症状がある場合は、IBSではなく他の疾患との関連を確認することが推奨されます。

  • 便に血が混じっている場合
  • 夜中寝ているときに腹痛や下痢で目が覚める場合
  • ダイエットをしていないのに体重が急激に減った場合
  • 38度以上の発熱が続く場合

「ストレスのせいだ」と考える前に、消化器内科で大腸内視鏡検査による確認をご検討ください。

当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。