虚血性腸炎とは|新宿・東新宿駅前こばやし消化器内科

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虚血性腸炎

虚血性腸炎とは|新宿・東新宿駅前こばやし消化器内科

サマリー(時間がない方はこちらをどうぞ)

虚血性腸炎は、大腸に血液を送る血管の血流が一時的に低下または途絶えることで、大腸の粘膜に酸素や栄養が不足(虚血)し、急激な炎症や潰瘍が生じる病態です。典型的には、突然の左下腹部の激しい痛みに始まり、下痢、血便という順に症状が現れます。動脈硬化を背景に持つ高齢の方に多くみられますが、便秘がちな若い世代でも発症することがあります。

多くの場合は腸管の安静と点滴による保存的治療で回復(一過性型)が期待できます。一方、血流障害が強く腸管が壊死する重症型(壊死型)に進行した場合は、腹膜炎につながるため外科的手術が必要となります。

確認しておきたいこと

  • 血便が出た場合:自己判断せず、大腸内視鏡やCT検査による確認が推奨されます。
  • 市販の下痢止めや痛み止めの使用:虚血性腸炎では使用を避けることが推奨されます。

症状について

虚血性腸炎の症状は、血流障害が起きた瞬間から組織にダメージが及ぶ過程に沿って、特徴的な順番で現れます。

  • 突然の激しい腹痛:血流が低下し大腸が虚血に陥ると、突然、左下腹部を中心に差し込むような痛み(疝痛)が起こります。冷や汗を伴うほどの痛みになることもあります。
  • 下痢と排便への切迫感:虚血によって大腸の粘膜が刺激され、腹痛の直後に強い便意を催し、頻回の下痢が現れます。
  • 血便(新鮮血便):粘膜がダメージを受けてびらん・潰瘍が形成されると出血します。腹痛と下痢の発症から数時間から半日程度経過した後に、鮮血便や暗赤色の血便が複数回排出されることがあります。

重症化のサイン(要注意)

  • 38度以上の高熱、お腹全体が板のように硬くなる、歩くだけでお腹に激痛が走る場合:大腸の壁が壊死して穴が開き(穿孔)、腹膜炎を併発している可能性があります。このような症状がある場合は、救急外来を受診してください。

病気の概要

大腸は、上腸間膜動脈ならびに下腸間膜動脈という2つの主要な血管から血液の供給を受けています。虚血性腸炎は、この血流のバランスが崩れ、大腸壁の微小な血管の血流が不足することで発症します。

病態の分類

  • 一過性型:全体の半数以上を占めます。粘膜および粘膜下層という浅い層にとどまる虚血で、血流が再開すれば治癒が期待できる軽症タイプです。
  • 狭窄型(きょうさくがた):虚血が筋肉の層(固有筋層)にまで及び、深い潰瘍が形成されます。治癒する過程で腸管が細く狭くなる後遺症が残ることがあります。
  • 壊死型(えしがた):大腸の壁全体の血流が完全に途絶え、腸管が壊死する最も重症のタイプです。敗血症や穿孔性腹膜炎につながることがあり、緊急の手術が必要です。

病気の特徴

虚血性腸炎が発生しやすい「好発部位」が存在することが特徴の一つです。

大腸への血液供給は血管のネットワーク(辺縁動脈)によって行われていますが、下行結腸からS状結腸にかけての領域は、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の支配領域の境界にあたり、構造的に血流が乏しくなりやすい特性があります。そのため、虚血性腸炎の約70%以上は左側の大腸(特に下行結腸からS状結腸)に発生するという特性があります。

原因・背景

大腸の血流が一時的に低下する原因は、主に「血管側の要因」と「腸管側の要因」が関係しています。

腸管内圧の上昇(便秘やいきみ)

多くみられる直接的な要因の一つです。便秘で硬い便が滞留している状態や、排便時に強くいきんだ際、腸管の内圧が上昇します。これにより、大腸の壁の細い血管が圧迫されて血流が低下し、虚血を引き起こすことがあります。

血管の動脈硬化

加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を背景として、大腸の血管が硬く狭くなっている状態です。少しの血圧低下や脱水でも、血流不足に陥りやすくなります。

血流量の低下(脱水など)

激しい運動や発汗、利尿剤の内服などによって体内の水分が不足すると、大腸へ送られる血液量が減少し、虚血のリスクが高まることがあります。

検査で分かること

診断の確定、他の出血性腸炎との鑑別、重症度の評価のために、以下の検査を行います。

主な検査方法

  • 腹部超音波(エコー)およびCT検査:状態を迅速に把握するための検査です。虚血に陥った腸管の壁が厚くなっている様子(壁肥厚)を確認できます。CT検査では、腸管がアコーディオンのように重なって見えるサイン(ターゲットサイン)や、壊死を疑う腸管外への空気の漏れ、周囲の脂肪組織の炎症を確認し、緊急手術の必要性を判断します。当院では必要に応じて、提携する高度医療機関と連携して実施します。
  • 大腸内視鏡検査(大腸カメラ):診断を確定するための検査です。虚血性腸炎に特有の「縦走潰瘍(じゅうそうかいよう)」や、正常な粘膜と虚血に陥った粘膜の境界がはっきり分かれている(境界明瞭)所見を観察します。腸管の壊死が疑われる重症例では、内視鏡検査は行わず、CT評価を優先します。
  • 血液検査:白血球数やCRPの上昇から炎症の強さを評価します。腸管の細胞が破壊されると血中に漏れ出す酵素(LDHやCK)の上昇がないかを確認し、重症度を判定します。

治療方針について

治療の基本的な考え方は、虚血によってダメージを受けた腸管を休ませ、自己修復を助けることです。病型(一過性か壊死型か)によって方針が異なります。

保存的治療(一過性型および狭窄型の一部)

  • 絶食・点滴:腸管への負担を最小限にするため、絶食・絶飲とし、失われた水分と栄養を補う点滴(補液)を行います。腸内細菌による感染を防ぐため、抗菌薬を投与することがあります。数日から1週間程度で腹痛や血便が消失すれば、消化の良い食事から徐々に再開します。

外科的治療(手術)

  • 対象:壊死型と診断された場合、または保存的治療を行っても腹膜炎の症状が現れたり、大量出血が続いたりする場合は、外科的手術(開腹または腹腔鏡下手術)が必要です。壊死した腸管を切除し、状況に応じて人工肛門(ストーマ)を一時的に造設することがあります。

狭窄型に対する対応

  • 炎症が落ち着いた後に腸管が狭くなり便が通りにくくなった場合は、内視鏡的バルーン拡張術や、外科的手術で狭い部分を切除する治療が必要になることがあります。

よくある質問(Q&A)

食中毒などの感染性腸炎とは違うのですか?
腹痛、下痢、血便という症状は似ていますが、病態が異なります。食中毒(感染性腸炎)は外部からの細菌やウイルスの侵入が原因ですが、虚血性腸炎は血流不足(酸欠状態)が原因です。そのため、虚血性腸炎は人にうつることはありません。
一度治れば、もう再発することはありませんか?
再発する可能性はあります。腸の血流を低下させる根本的な原因(慢性的な便秘、高血圧などの動脈硬化因子)が改善されなければ、再び虚血性腸炎を起こすリスクが残ります。退院後も水分を多めにとり、便秘の予防に取り組むことが再発防止につながります。
痛み止め(NSAIDs)を飲んで腹痛をごまかしてもよいですか?
避けてください。ロキソプロフェンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、腸の粘膜の血流を低下させ、粘膜を保護する機能を抑える作用があります。血流不足でダメージを受けている大腸に対してNSAIDsを使用すると、虚血と潰瘍形成が悪化し、腸の穿孔につながることがあります。

受診の目安

「左下腹部に突然の激しい腹痛が起こり、その後に下痢が出て、さらに便器が赤く染まるほどの血便が出た」という場合は、虚血性腸炎の可能性があります。内視鏡検査やCT検査による確認が推奨されます。

  • 便秘が続いていてトイレで強くいきんだ後に症状が現れた場合
  • 高血圧や糖尿病などの持病がある場合

症状を市販の下痢止めや痛み止めで対処しようとすると、腸管の壊死や腹膜炎へ進行することがあります。血便と腹痛が現れた場合は、消化器内科を受診し、大腸内視鏡やCT検査による確認をご検討ください。

当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。