好酸球性食道炎
好酸球性食道炎
好酸球性食道炎(EoE:Eosinophilic Esophagitis)は、アレルギー反応に関わる白血球の一種である「好酸球」が食道の粘膜に集まり、慢性的な炎症を引き起こす疾患です。健康な方の食道には好酸球は存在しませんが、食べ物や吸い込んだアレルゲン(抗原)に対する免疫反応によって発症することがあります。代表的な症状は、食べ物を飲み込む際の胸のつかえ感(嚥下困難)や、肉の塊などが食道に詰まって動かなくなる「食片圧入(しょくへんあつにゅう)」です。
逆流性食道炎と症状が似ていますが、胃酸を抑える薬だけでは改善しにくいことが特徴です。気管支喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどを合併している方が多い傾向にあります。
確認しておきたいこと
好酸球性食道炎の症状は、食道の粘膜が炎症によって腫れたり、進行すると食道が硬く狭くなる(線維化・狭窄)ことによって生じます。
胃や腸の粘膜には少量の好酸球が普段から存在していますが、食道の粘膜(重層扁平上皮)には、健康な状態であれば好酸球は存在しません。
好酸球性食道炎は、本来好酸球が存在しないはずの食道に、特定の抗原(アレルゲン)が繰り返し触れることで、免疫の反応に変化が生じる病態です。
食道粘膜のバリア機能が低下した状態で、食物などの抗原が侵入すると、免疫細胞(Th2細胞など)が活性化し、インターロイキン(IL-4、IL-5、IL-13など)と呼ばれるサイトカインが放出されます。このサイトカインの働きによって、血液中から食道粘膜へ好酸球が集まり、慢性的なアレルギー性炎症が生じます。
好酸球性食道炎で確認しておきたい点の一つに、慢性的な炎症が食道の「リモデリング(構造的変化)」につながることがあります。
好酸球からは、周囲の組織に作用するタンパク質(MBPなど)が放出されます。この炎症が長期間続くと、食道の柔らかい筋肉や粘膜下層がコラーゲン線維に置き換わることがあります。これにより、食道の動き(蠕動運動)が低下するだけでなく、食道が竹の節のように狭くなる「輪状ひだ」や「狭窄」が形成され、通過障害につながることがあります。
内視鏡で観察される特徴的な所見
好酸球性食道炎を引き起こす要因として、主に「食物抗原」と「環境抗原」が知られています。
食事として摂取した特定のタンパク質が、食道粘膜に触れることでアレルギー反応につながることがあります。原因となりやすい食物として、牛乳(乳製品)、小麦、卵、大豆、ピーナッツなどのナッツ類、魚介類(シーフード)が知られています。
花粉、ハウスダスト、ダニ、カビなどを吸い込み、唾液とともに食道に入ることで炎症に関係することがあります。花粉の飛散時期に食道の症状が変化する方もいます。
患者さんの多く(50~70%)は、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といった「Type 2(Th2)炎症」と呼ばれるアレルギー体質を背景に持っています。食道粘膜の細胞同士をつなぐタンパク質の機能(バリア機能)が、抗原の侵入に関係しているという研究も進んでいます。
好酸球性食道炎の診断には、問診に加えて、内視鏡検査と病理組織検査を組み合わせることが推奨されます。
主な検査方法
好酸球性食道炎の治療の目標は、症状の改善とともに、顕微鏡レベルでの好酸球の炎症を抑え、将来的な食道狭窄(リモデリング)を防ぐことです。
薬物療法
食事療法
内視鏡的治療
「肉やパンなどのパサパサした固形物が、胸の奥で引っかかる感じがする」「食事のたびに、食べ物を胃に流し込むための水が手放せない」「食事中に食べ物が詰まって苦しくなり、吐き出してしまうことが何度かある」といった症状がある場合は、内視鏡検査による確認が推奨されます。
これらの症状を「よく噛んでいないせいだ」「ストレスのせいだろう」と考える前に、特にアレルギー体質(喘息やアトピーなど)をお持ちの方で、飲み込みにくさや治りにくい胸やけがある場合は、消化器内科で生検(組織採取)を伴う内視鏡検査を受けることをご検討ください。
当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。