急性食道炎
急性食道炎
急性食道炎は、食道の粘膜に急激な炎症や組織の変化が生じる病態の総称です。長期間の胃酸逆流によって生じる慢性の「逆流性食道炎」とは異なり、細菌やウイルスなどの「感染」、内服した錠剤が食道に留まることによる「薬剤起因性」、誤飲などによる「腐食性」といった、明確な原因が引き金となって生じます。
主な症状として、食べ物を飲み込む際の強い胸の痛み(嚥下時痛)や、何かが胸につかえる感覚(嚥下困難)、食事とは関係のない胸骨の裏側の痛みなどが現れることがあります。食道は酸や化学物質への防御機能が弱いため、原因物質にさらされると粘膜に変化が生じやすくなります。
急性食道炎で大切なこと
急性食道炎の症状は、食道の粘膜に急激な変化が生じることに伴い、痛みを伴う症状が特徴です。
食道は、咽頭から胃をつなぐ約25センチメートルの管状の臓器です。表面は「重層扁平上皮(じゅうそうへんぺいじょうひ)」という粘膜で覆われていますが、胃のような強力な粘液のバリア(防御機構)は持っていません。そのため、化学物質や病原体が直接付着すると、細胞が変化しやすくなります。
急性食道炎は、この食道粘膜に対して、急激な要因が作用することで発症します。原因によって病態は異なり、大きく「感染性食道炎」「薬剤起因性食道炎」「腐食性食道炎」「放射線食道炎」などに分類されます。いずれも、粘膜の表面が剥がれる「びらん」や、より深い「潰瘍」を形成することがあり、急性期には痛みを、治癒の過程では食道が狭くなる「狭窄(きょうさく)」という変化が残ることがあります。
内視鏡(胃カメラ)で観察した際に、原因ごとに特徴的な粘膜の形態がみられることが、診断の参考になります。
食道粘膜に、白くて厚い苔(白苔)が多発・付着している様子が観察されます。
初期には小さな水ぶくれ(水疱)ができ、それが破れて中央がへこんだ「打ち抜き型潰瘍(浅い潰瘍)」が多数形成されることがあります。
ヘルペスウイルスよりも深く、大きくえぐれた「広範な不正形潰瘍」が形成されることがあります。
薬が留まった部位(食道が解剖学的に狭くなっている大動脈弓の交差部など)に限定して、周囲が赤く腫れた「打ち抜き潰瘍」がみられることがあります。向かい合う粘膜に左右対称に潰瘍ができること(kissing ulcer)もあります。
急性食道炎の原因は、以下のようなカテゴリーに分けられます。
健康な方の食道には病原体は通常定着しませんが、加齢、糖尿病、ステロイド薬の長期使用、抗がん剤治療、HIV感染などにより免疫力(細胞性免疫)が低下すると、真菌(カンジダ)やウイルス(単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルスなど)が食道粘膜で増殖し、潰瘍を引き起こすことがあります。
内服した錠剤やカプセルが胃まで到達せず、食道の途中で留まり、そこで成分が溶け出すことで粘膜に影響を与える病態です。骨粗鬆症の治療薬(ビスホスホネート製剤)、特定の抗生物質(テトラサイクリン系など)、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)などが代表的です。十分な水で飲まなかった場合や、内服後すぐに横になった場合に生じやすくなります。
誤って、あるいは意図的に強酸や強アルカリの洗浄剤(トイレ用洗剤や漂白剤など)を飲み込んでしまった場合に生じます。粘膜が変化し、食道に穴が開く(穿孔)リスクがある状態です。
肺がんや乳がんなどの治療で行われる放射線照射によって生じる「放射線食道炎」や、極端に熱い食べ物による「熱傷性食道炎」なども原因となります。
原因を確認し、治療法を選択するため、以下の検査を行います。
主な検査方法
急性食道炎の治療は、原因に対する治療と、痛みを和らげて粘膜の修復を助ける保存的治療を組み合わせて行います。
感染性食道炎の治療
薬剤起因性食道炎の治療
腐食性食道炎の治療
「水や食べ物を飲み込んだ瞬間に、胸の奥や背中に痛みが走る」「食事のたびに胸につかえて飲み込めない」といった嚥下時痛や嚥下困難が突然現れた場合は、急性食道炎の可能性が考えられます。
痛みを我慢して食事や水分を控えると、脱水症状につながるだけでなく、潰瘍が深くなることもあります。症状に気づいた段階で、消化器内科を受診し、内視鏡検査による確認をご検討ください。
当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。