胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍ならびに十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)は、胃酸や消化酵素(ペプシン)が、胃や十二指腸の粘膜を深く傷つけ、組織が欠損する病態です。粘膜の表面がただれる「びらん(胃炎)」とは異なり、粘膜の下にある筋肉の層(粘膜筋板や固有筋層)にまで及ぶ状態を指します。
主な原因は「ヘリコバクター・ピロリ菌」の持続感染と、痛み止めなどの「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」の使用です。みぞおちの痛み(心窩部痛)が代表的な症状ですが、無症状のまま進行し、吐血や下血(黒色便)、あるいは胃や腸に穴が開く(穿孔)といった合併症につながることがあります。
治療の考え方
発生する部位(胃か十二指腸か)によって、痛みが起こるタイミングに違いがあります。
胃潰瘍の症状
十二指腸潰瘍の症状
出血と穿孔(合併症の症状)
胃や十二指腸の粘膜は、「攻撃因子(胃酸、ペプシン)」と「防御因子(粘膜を覆う粘液、粘膜の血流、プロスタグランジンなど)」のバランスによって保たれています。
消化性潰瘍は、このバランスが崩れ、攻撃因子が防御因子を上回ることで、組織に変化が生じる病態です。
胃潰瘍は高齢の方に多く、胃の出口に近い部分(胃角部や前庭部)に発生しやすい傾向があります。これは加齢とともに防御因子が低下しやすいためと考えられています。一方、十二指腸潰瘍は比較的若い世代(20~40代)に多く、胃のすぐ先の部分(十二指腸球部)に発生します。これは若い世代の方が胃酸の分泌量(攻撃因子)が多い傾向にあるためと考えられています。
胃潰瘍において確認しておきたい点の一つに、「良性の潰瘍」と「悪性腫瘍(潰瘍を伴う進行胃がん)」の鑑別があります。
消化性潰瘍の発症原因は、主に以下の要因に分けられます。
胃および十二指腸潰瘍の最大の原因です。ピロリ菌が分泌するアンモニアや毒素が胃の粘膜に影響を与え、持続的な慢性炎症を引き起こします。これにより粘膜の防御機能が低下し、潰瘍が発生しやすくなります。十二指腸潰瘍の方の約90%、胃潰瘍の方の約70%がピロリ菌に感染していると報告されています。
整形外科的な痛みなどで使用されるロキソプロフェンなどのNSAIDsや、脳梗塞や心筋梗塞の予防として内服する低用量アスピリンは、胃の粘膜を守る物質(プロスタグランジン)の生成を抑える作用があります。この作用により防御因子が減少し、潰瘍が生じることがあります(NSAIDs潰瘍)。このタイプの潰瘍は、痛み止めの作用により潰瘍自体の痛みも感じにくくなるため、無症状のまま出血に至ることがあります。
強い精神的ストレス、広範囲の熱傷や大手術(ストレス潰瘍)、過度なアルコール摂取や喫煙などが、自律神経のバランスに影響し、粘膜血流の低下を介して潰瘍の発生に関係することがあります。
診断の確定、がんの除外、原因の確認のため、以下の検査を行います。
主な検査方法
消化性潰瘍の治療は、薬物療法と原因への対応を組み合わせて行います。
薬物療法(初期治療)
ピロリ菌の除菌療法
NSAIDs潰瘍への対策
内視鏡的止血術および外科的治療
「食後にみぞおちが重く痛む」「夜間や明け方の空腹時にみぞおちが痛くなり、何か食べると楽になる」といった症状が数日以上続く場合は、内視鏡検査による確認が推奨されます。
これらは潰瘍からの出血を示すサインの可能性があります。また、「突然、お腹全体に激痛が走り、身動きがとれない」場合は、潰瘍による穿孔(腹膜炎)の可能性があります。これらの症状がある場合は、昼夜を問わず救急車を要請し、緊急内視鏡や手術が可能な医療機関を受診してください。
当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。