虚血性腸炎
虚血性腸炎
虚血性腸炎は、大腸に血液を送る血管の血流が一時的に低下または途絶えることで、大腸の粘膜に酸素や栄養が不足(虚血)し、急激な炎症や潰瘍が生じる病態です。典型的には、突然の左下腹部の激しい痛みに始まり、下痢、血便という順に症状が現れます。動脈硬化を背景に持つ高齢の方に多くみられますが、便秘がちな若い世代でも発症することがあります。
多くの場合は腸管の安静と点滴による保存的治療で回復(一過性型)が期待できます。一方、血流障害が強く腸管が壊死する重症型(壊死型)に進行した場合は、腹膜炎につながるため外科的手術が必要となります。
確認しておきたいこと
虚血性腸炎の症状は、血流障害が起きた瞬間から組織にダメージが及ぶ過程に沿って、特徴的な順番で現れます。
重症化のサイン(要注意)
大腸は、上腸間膜動脈ならびに下腸間膜動脈という2つの主要な血管から血液の供給を受けています。虚血性腸炎は、この血流のバランスが崩れ、大腸壁の微小な血管の血流が不足することで発症します。
病態の分類
虚血性腸炎が発生しやすい「好発部位」が存在することが特徴の一つです。
大腸への血液供給は血管のネットワーク(辺縁動脈)によって行われていますが、下行結腸からS状結腸にかけての領域は、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の支配領域の境界にあたり、構造的に血流が乏しくなりやすい特性があります。そのため、虚血性腸炎の約70%以上は左側の大腸(特に下行結腸からS状結腸)に発生するという特性があります。
大腸の血流が一時的に低下する原因は、主に「血管側の要因」と「腸管側の要因」が関係しています。
多くみられる直接的な要因の一つです。便秘で硬い便が滞留している状態や、排便時に強くいきんだ際、腸管の内圧が上昇します。これにより、大腸の壁の細い血管が圧迫されて血流が低下し、虚血を引き起こすことがあります。
加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を背景として、大腸の血管が硬く狭くなっている状態です。少しの血圧低下や脱水でも、血流不足に陥りやすくなります。
激しい運動や発汗、利尿剤の内服などによって体内の水分が不足すると、大腸へ送られる血液量が減少し、虚血のリスクが高まることがあります。
診断の確定、他の出血性腸炎との鑑別、重症度の評価のために、以下の検査を行います。
主な検査方法
治療の基本的な考え方は、虚血によってダメージを受けた腸管を休ませ、自己修復を助けることです。病型(一過性か壊死型か)によって方針が異なります。
保存的治療(一過性型および狭窄型の一部)
外科的治療(手術)
狭窄型に対する対応
「左下腹部に突然の激しい腹痛が起こり、その後に下痢が出て、さらに便器が赤く染まるほどの血便が出た」という場合は、虚血性腸炎の可能性があります。内視鏡検査やCT検査による確認が推奨されます。
症状を市販の下痢止めや痛み止めで対処しようとすると、腸管の壊死や腹膜炎へ進行することがあります。血便と腹痛が現れた場合は、消化器内科を受診し、大腸内視鏡やCT検査による確認をご検討ください。
当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。