過敏性腸症候群
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)などの検査を行っても、がんや潰瘍といった目に見える器質的な異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な腹痛と便通異常(下痢や便秘)が続く機能的な疾患です。脳と腸が自律神経やホルモンを介して影響し合う「脳腸相関(のうちょうそうかん)」の変化が病態の根幹にあり、ストレスや腸内細菌叢の変化が引き金となって、腸の運動異常および腸の知覚過敏を引き起こします。
命に直接関わる疾患ではありませんが、通勤や通学、日常生活に影響を与えることがあります。治療は、食事や生活習慣の改善をベースとし、病型(下痢型か便秘型か)に合わせた薬を組み合わせることで、症状をコントロールしていくことが目標です。
排便に関連して増悪または軽快する腹痛が最大の特徴です。便の形状(硬さ)によって、以下の4つの型に分類されます。
消化管の働きは、自律神経系を通じて脳によってコントロールされています。過敏性腸症候群は、脳と腸の間の双方向通信(脳腸軸)に変化が起きている状態です。
身体的・精神的ストレスが脳に加わると、その信号が自律神経を介して腸に伝わり、腸の平滑筋が過剰に収縮して腹痛や便通異常を引き起こします。同時に、腸からの感覚信号も脳に過剰に伝わるようになるため、健康な方であれば気にならない程度の腸の動きやガスの発生を「痛み」や「不快感」として脳が感じてしまいます。
IBSにおいて重要な特徴の一つは、「器質的疾患を除外すること」によって初めて診断が成り立つ(除外診断)という点です。国際的な診断基準である「Rome IV基準」が用いられますが、その前提として、大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病などの疾患が隠れていないことを確認する必要があります。
発症の直接的な原因は一つではなく、以下の要因が関係して脳腸相関の変化を引き起こすと考えられています。
過労、対人関係の悩み、睡眠不足などが自律神経のバランスを変化させ、腸の運動をコントロールする神経伝達物質(セロトニンなど)の分泌に影響することがあります。
サルモネラやカンピロバクターなどによる細菌性腸炎に罹患した後、腸内の炎症が治まったにもかかわらずIBSを発症するケースが約10%存在することが報告されています。腸粘膜の微小な炎症や腸内細菌叢の変化が関係していると考えられています。
FODMAP(発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール)と呼ばれる特定の糖質(小麦、乳製品、タマネギなど)を摂取すると、大腸内で異常なガスが発生し、症状が悪化することがあります。
IBS特有の異常を数値化する検査はありません。症状の原因となる「他の病気がないこと」を確認するために以下の検査を行います。
主な検査方法
IBSの治療は、生活指導、食事療法、薬物療法を組み合わせて行います。
生活習慣の改善および食事療法
薬物療法(消化管機能調節薬など)
心理療法
「会議の前になると必ず下痢になる」「お腹が張って苦しく、便秘と下痢を繰り返している」といった症状が数ヶ月にわたって続き、仕事や学業に影響が出ている場合は、過敏性腸症候群の可能性があります。
以下のような症状がある場合は、IBSではなく他の疾患との関連を確認することが推奨されます。
「ストレスのせいだ」と考える前に、消化器内科で大腸内視鏡検査による確認をご検討ください。
当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。