慢性膵炎
慢性膵炎
慢性膵炎は、膵臓に長期間にわたって持続的な炎症が起こり、正常な細胞が壊れて硬い線維組織に置き換わっていく(線維化する)進行性の疾患です。膵臓は食べ物を消化する「膵液」を分泌する外分泌機能と、血糖値を調節する「インスリン」などのホルモンを分泌する内分泌機能という2つの重要な役割を担っています。慢性膵炎が進行すると、これらの機能が徐々に失われ、消化吸収不良による下痢や体重減少、糖尿病の発症や悪化につながります。
初期の段階では、みぞおちや背中の強い痛みを繰り返すことが特徴ですが、病状が進行して膵臓の細胞が広範囲に破壊されると、痛みが消失していく「燃え尽き(バーンアウト)」と呼ばれる特異な経過をたどることがあります。一度壊れた膵臓を元の状態に戻す根治療法は現時点では存在しないため、早期に発見し、禁酒・禁煙と適切な内科的治療によって進行を抑えることが重要です。
慢性膵炎の症状は、病気の進行度(代償期、移行期、非代償期)によって変化します。
代償期(初期〜中期)
移行期
非代償期(進行期・バーンアウト期)
膵臓はお腹の深いところ(後腹膜臓器)に位置する長さ15センチほどの細長い臓器です。
慢性膵炎は、膵臓の中で消化酵素(トリプシンなど)が異常に活性化し、自分の膵臓の組織を消化してしまう「自己消化」を慢性的に繰り返す病態です。組織が破壊されると修復の過程でコラーゲンなどの線維タンパク質が蓄積し(線維化)、本来は柔らかい膵臓が硬く縮んでいきます。さらに、膵液の成分が変化して膵管の中に石が形成される「膵石(すいせき)」が多発するようになります。この膵石が管を塞ぐことで膵液の流れが滞り、内圧が上昇して激しい痛みを引き起こすという悪循環が形成されます。
慢性膵炎の特徴として「不可逆性」と「膵臓がんのリスクの上昇」があります。
慢性膵炎を発症する原因は性別によって傾向が異なりますが、全体のおよそ60〜70%は「長期間の過度なアルコール摂取」が原因(アルコール性慢性膵炎)です。
アルコールやその代謝産物(アセトアルデヒド)が膵臓の細胞に影響し、膵液のタンパク質を固まりやすくして膵管を詰まらせることが原因と考えられています。日本酒換算で毎日3合以上の飲酒を10年以上継続すると発症リスクが高まるとされています。
明らかな原因が特定できないタイプで、女性に多くみられます。遺伝子の変異などが関与していると考えられています。
免疫システムの変化によって自らの膵臓に炎症が起こる特殊なタイプで、ステロイド治療が効果を示すことが特徴です。
副甲状腺機能亢進症などによる高カルシウム血症、脂質異常症(高トリグリセリド血症)、先天的な膵管の形態異常(膵管癒合不全)などが原因となることもあります。なお、喫煙はアルコールとともに慢性膵炎の発症リスクを上昇させ、病気の進行を加速させる要因として報告されています。
診断および進行度の評価のために、血液検査と複数の画像診断を組み合わせて評価します。
主な検査方法
治療方針は、病気の進行段階(代償期か非代償期か)によって異なります。
生活指導(治療の前提)
薬物療法
内視鏡的治療・体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
外科的治療
「脂っこいものを食べたり、お酒を飲んだりした数時間後に、みぞおちから背中にかけて強い痛みが起こる」というエピソードを繰り返している場合は、消化器内科での確認が推奨されます。
これらの症状がある場合は、慢性膵炎が進行し膵臓の機能が低下している可能性があります。市販の胃薬などで様子を見ることは避け、消化器内科を受診して確認をご検討ください。
当院は東新宿駅徒歩30秒・新宿三丁目駅徒歩8分と、新宿エリアからアクセスしやすい立地です。症状や検査結果に応じて内視鏡検査をはじめとする各種検査をご提案し、必要に応じて連携する基幹病院へのご紹介にも対応しています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。