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市販の便秘薬と最近の処方薬、何が違う?ガイドラインから見た使い分け
薬局やドラッグストアには便秘薬がたくさん並んでいて、どれを選べばいいのか迷う方は多いと思います。この記事では、市販薬と最近の処方薬の違いを、具体的な製品名を挙げながらわかりやすく整理します。
この記事のポイント
- 市販薬は2タイプ:大きく「腸を刺激するタイプ」と「便を軟らかくするタイプ」の2つに分かれます
- 処方薬は仕組みが違う:最近の処方薬は、腸を刺激せずに水分を増やして自然な排便を促す新しいタイプです
- 使う順番がある:まずは生活習慣の改善、次に軟らかくするタイプの薬、それでも足りなければ処方薬という順番が基本です
- 刺激するタイプは頓用:毎日飲み続けるのではなく「出ないときだけ使う」薬です
市販の便秘薬、代表的な製品
腸を刺激して出すタイプ
大正製薬の「コーラック」、エスエス製薬の「スルーラックS」、皇漢堂製薬の「ビューラックA」などがこのタイプです。腸そのものを刺激して動かすので、比較的早く効果が出やすいのが特徴です。ただ、使い続けると腸が刺激に慣れてしまい、だんだん効きが悪くなって量が増えていく、という難点があります。武田コンシューマーヘルスケアの「タケダ漢方便秘薬」のように、大黄甘草湯という漢方をベースにした薬も、仕組みとしてはこの「刺激するタイプ」に含まれます。
漢方薬だから体に優しい、と思われがちですが、注意が必要なものもあります。クラシエ薬品の「麻子仁丸料エキス錠」などで知られる麻子仁丸も、大黄(ダイオウ)という生薬を含んでおり、腸を刺激する成分が入っています。「便を潤して出す」というイメージで長く使われがちですが、仕組みとしてはコーラックやビューラックAと同じグループです。使っている方は多いですが、毎日の常用ではなく頓用として位置づけるのが本来の使い方です。
便を軟らかくして出すタイプ
酸化マグネシウムが主成分の薬で、健栄製薬の「酸化マグネシウムE便秘薬」、大正製薬の「コーラックMg」、エスエス製薬の「スルーラックマグネシウム」などがあります。腸に水分を引き込んで便を軟らかくする仕組みなので、腸を直接刺激するタイプに比べて、飲み続けても効きが悪くなりにくいのが特徴です。ちなみに、病院で長く使われている「マグミット」を作っているマグミット製薬は、同じ成分の市販薬「マグミットK」も出しています。同じ成分の薬が、病院用と市販用の両方にあるということです。ただ、腎臓の機能が落ちている方や高齢の方は、体内にマグネシウムが溜まりやすいので注意が必要です。
同じブランド名でも、タイプがまったく違うことがあるので注意してください
- コーラック:腸を刺激するタイプ
- コーラックMg:便を軟らかくするタイプ
- スルーラックS:腸を刺激するタイプ
- スルーラックマグネシウム:便を軟らかくするタイプ
薬局で選ぶときは、ブランド名だけでなく、パッケージに書かれている成分名(ビサコジル・センノシドなら刺激するタイプ、酸化マグネシウムなら軟らかくするタイプ)を確認することをおすすめします。ほかに、便自体に水分を含ませて軟らかくする、少し違う仕組みの薬として小林製薬の「オイルデル」があります。また、皇漢堂製薬の「ビューラック・ソフト」は大腸だけで作用する成分(ピコスルファートナトリウム)を使っており、刺激するタイプの中では比較的お腹に優しいとされています。
浣腸・坐薬タイプ
イチジク製薬の「イチジク浣腸」や、ゼリア新薬工業の「新レシカルボン坐剤」があります。すぐに出したいときに使うもので、こちらも毎日使うものではありません。
最近の処方薬は何が違うのか
この10年ほどで登場した新しい便秘薬は、市販の「刺激するタイプ」とは仕組みがまったく違います。腸を無理に動かすのではなく、腸の中の水分を増やして便を軟らかくし、自然に出やすくするタイプです。
アミティーザ(ヴィアトリス製薬)とリンゼス(アステラス製薬)は、腸の壁から水分を出す働きを持つ薬です。刺激するタイプに比べて、お腹への負担が少ないとされています。
グーフィス(EAファーマ)は、胆汁という消化液を利用して、大腸に水分を増やし、腸の動きも助けるタイプの薬です。
ほかにも、水に溶かして飲む「モビコール」(EAファーマ)という薬もあり、海外では以前から広く使われているタイプです。これらは腸が慣れてしまう心配が少なく、長く使い続けやすい薬です。ただし薬の値段は高めで、下痢やお腹の痛みといった別の副作用が出ることもあるため、医師の診察のもとで使う薬になります。
処方薬にも「刺激するタイプ」がある
実は処方薬の中にも、市販薬と同じ「腸を刺激するタイプ」の薬があります。代表的なのが「プルゼニド」(サンファーマ)で、市販のセンナ系の薬と基本的な仕組みは同じです。ほかに、酸化マグネシウムの処方薬「マグミット」や、滴で量を調整できる「ラキソベロン」(帝人ファーマ)も昔からよく使われています。つまり「処方薬だから新しいタイプ」というわけではなく、処方薬の中にも刺激するタイプ・軟らかくするタイプ・新しいタイプが混ざっているということです。
ガイドラインが示す使う順番
便秘の診療ガイドライン(便通異常症診療ガイドライン2023)では、次のような順番で薬を使うことが基本とされています。
1
生活習慣の見直し
食事、運動、トイレの習慣を整えることが、まず基本になります。
2
便を軟らかくする薬
酸化マグネシウムなど、比較的長く使い続けやすい薬から検討します。
3
新しいタイプの処方薬を検討
それでも改善しない場合、アミティーザやリンゼス、グーフィスといった薬を検討します。
コーラックやプルゼニドのような「刺激するタイプ」は、効果がないわけではありませんが、ガイドライン上は「出ないときだけ使う薬」という位置づけです。毎日飲み続ける薬ではない、という点がポイントです。
市販薬を使うときに知っておきたいこと
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刺激するタイプの薬を毎日使い続けるとどうなりますか
- 腸が刺激に慣れてしまい、同じ量では効きにくくなっていきます。大腸カメラの検査で、腸の内側が黒っぽく変色する「大腸メラノーシス」という変化が見つかることもありますが、これは体に害のあるものではなく、薬をやめれば時間とともに元に戻ります。センナ系の薬だけでなく、大黄を含む漢方薬(大黄甘草湯や麻子仁丸など)を長く飲み続けた場合も、同じように色が変わることがあります。
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酸化マグネシウムは長く使っても大丈夫ですか
- 比較的、腸が慣れてしまいにくい薬です。ただ、腎臓の機能が落ちている方や高齢の方は、体にマグネシウムが溜まりやすいため、定期的に血液検査でチェックしておくと安心です。
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市販薬を使ってどれくらいで受診を考えればいいですか
- 2週間ほど使っても改善しない場合や、使う量がどんどん増えていく場合は、一度消化器内科を受診することをおすすめします。市販薬でなんとなく便通がついていると、「便秘はコントロールできている」と感じてしまいがちですが、実際には便秘の背景に大腸ポリープや大腸がんが隠れていて、便の通り道が狭くなっていることが原因で便秘のような症状が出ている、というケースもあります。特に40歳以降で、今までと違う便秘のパターンになった場合、便に血が混じる、便が細くなった、体重が減ってきた、といった変化がある場合は、市販薬でしのぐのではなく、早めに大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けて原因をはっきりさせることが大切です。
まとめ
市販の便秘薬は手軽に買える分、種類ごとの特徴を知っておくことが大切です。コーラックや麻子仁丸のような刺激するタイプは「出ないときだけ」、酸化マグネシウムのような軟らかくするタイプは「続けて使いやすい」というイメージを持っておくと、選びやすくなると思います。ただ、市販薬を何年も自己判断で使い続けているという方は少なくありません。そうした場合、市販薬でしのぐのをやめて、アミティーザやリンゼス、グーフィスといった処方薬に切り替えたほうが、腸への負担も少なく、長期的な管理としては向いています。まずは一度受診して、大腸カメラで便秘の原因そのものを確認したうえで、体質に合った薬に切り替えていくことをおすすめします。
便秘が続く場合は、ぜひ当院へもご相談ください。なお、大腸カメラの予約はwebからも行えます。

