「一度受けたから大丈夫」に潜む落とし穴|便潜血陽性と大腸カメラ|東新宿駅前こばやし消化器内科|東新宿駅から徒歩30秒|生活に寄り添った内視鏡検査で食道・胃・大腸から健康をサポート

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「一度受けたから大丈夫」に潜む落とし穴|便潜血陽性と大腸カメラ

「一度受けたから大丈夫」に潜む落とし穴|便潜血陽性と大腸カメラ|東新宿駅前こばやし消化器内科|東新宿駅から徒歩30秒|生活に寄り添った内視鏡検査で食道・胃・大腸から健康をサポート

「今年も健康診断の便潜血検査で陽性だった」という方の中には、「以前、大腸カメラを受けて何もなかったから大丈夫」と思われる方も少なくありません。実は、この考え方は方向性としては間違っていません。ただし、「絶対に大丈夫」というわけでもない、というのがポイントです。そんな内容を支持する論文をご紹介します。

  • 論文タイトル:Risk of colorectal cancer among fecal immunochemical test-positive individuals by timing of previous colonoscopy: A multicenter analysis
  • 掲載誌:Journal of Gastroenterology and Hepatology(2025年1月号)
  • 研究デザイン:日本の大規模内視鏡データベース「J-SCOUT研究」のサブグループ解析(多施設・後ろ向き観察研究)
  • 対象:便潜血陽性で大腸内視鏡検査を受けた10,160名

便潜血陽性となった方を、過去に大腸内視鏡を受けた時期別に分類し、「要注意ポリープ・がん」(がん化リスクの高い大きめのポリープや、がん)が見つかる割合を比較した調査です。

ポリープを切除すれば、リスクは下がる

大腸内視鏡検査では、見つかったポリープをその場で切除することができます。切除してしまえば、そのポリープが将来がん化する心配はなくなります。つまり、最近内視鏡を受けてポリープを切除していれば、その後しばらくの間は、新たに要注意ポリープ・がんができている可能性は低くなります。

データを見ると、初めて大腸内視鏡を受けた方が100人とすると、病変が見つかった内訳は以下の通りです。

  • 要注意ポリープ・がん(advanced neoplasia):11.6%
  • がん(carcinoma):4.13%(早期のものも含むがん全体)
  • 進行がん(≥T2 cancer):3.03%(筋層以深に浸潤した、より進行したがん)

11.6%のうち、実際にがんだったのは4.13%、そのなかでも筋層以深まで進行していたのは3.03%でした。つまり、「要注意」とされた方の大部分は、がんではなくポリープの段階で見つかっているということです。だからこそ、便潜血陽性をきっかけに早めに検査を受け、ポリープの段階で切除しておくことが、将来の大腸がんを防ぐことにつながります。

一方、2〜4年前に内視鏡を受けてポリープを切除したことがある方では、100人とすると、要注意ポリープ・がんが見つかるのは1〜3人程度まで下がる計算になります。最初のグループと比べて、見つかる確率が7〜8分の1程度まで下がるイメージです。

でも、ゼロにはならない

ここで大切なのは、確率が下がるからといって「ゼロ」にはならないという点です。実際、2〜4年前に内視鏡を受けていた方でも、100人とすると1〜3人程度は要注意ポリープ・がんが見つかる計算になります。内視鏡から5年以上が経過すると、新しいポリープやがんができる時間も経過するため、見つかる割合は100人とすると6〜7人程度まで戻ってくる計算になります。「一度きれいだったから、この先もずっと大丈夫」ということにはならないのです。

便潜血検査だけでは、安心できない理由

便潜血検査の精度を語るときによく使われるのが「感度」と「特異度」という言葉です。

  • 感度:実際に大腸がんがある人のうち、検査で正しく「陽性」と判定できる割合です。感度が高いほど、がんを見逃しにくい検査といえます。
  • 特異度:実際には大腸がんがない人のうち、検査で正しく「陰性」と判定できる割合です。特異度が高いほど、健康な人を不必要に「陽性」と判定してしまうことが少なくなります。

参考文献にあがっているイスラエルの大規模スクリーニング研究では、便潜血検査の感度は85.3%、特異度は95.5%と報告されています。つまり、実際に大腸がんがある人のうち約15%は、便潜血検査では「陰性」と判定されてしまう可能性があるということです。便潜血検査は非常に有用な検査ですが、それだけで大腸の状態を完全に把握できるわけではありません。

2年連続の陽性は、要注意サイン

もう一つ興味深いのは、「1年前に内視鏡を受けていた方」の、がんが見つかる割合が、「2〜4年前に受けていた方」よりも高かった点です(100人とすると約2.7人 vs 0.2〜0.6人の計算になります)。日本では便潜血検査を毎年受けることが多いため、この「1年前に内視鏡を受けていた方」には、2年連続で便潜血陽性になった方が多く含まれていると考えられます。1回目の内視鏡で異常が見つからなかったとしても、便潜血が2年続けて陽性になった場合は、自己判断で放置せず、再度の内視鏡検査を検討することをおすすめします。

内視鏡歴も含めて、まずはご相談を

便潜血陽性という結果は、大腸内視鏡を受けたことがあるかどうかによって、意味合いが変わってきます。

  • 直近5年以内に内視鏡を受けている方:要注意ポリープ・がんが見つかる確率は低めですが、ゼロではありません。
  • 内視鏡から5年以上経っている方:見つかる確率は初めて受ける方に近づいてきますので、放置せず検査をおすすめします。
  • 2年連続で便潜血陽性になった方:前回の内視鏡が陰性であっても、再検査を検討する価値があります。

「以前受けたから大丈夫」と自己判断せず、便潜血陽性の結果が出た際は、これまでの内視鏡歴も含めて当院にご相談ください。検査歴を踏まえたうえで、適切なタイミングでの大腸カメラ検査をご案内します。

参考文献

  • Kawamura T, Oda Y, Toyoizumi H, et al. Risk of colorectal cancer among fecal immunochemical test-positive individuals by timing of previous colonoscopy: A multicenter analysis. Journal of Gastroenterology and Hepatology. 2025;40(1):153-158.
  • Rozen P, Knaani J, Samuel Z. Cancer detection rate and disease characteristics in a population colorectal cancer screening program using fecal occult blood test. Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention. 2001;10(1):15-19.